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思い出した用事「哲二さん加代さん」4
高齢者婚活パーティーで出会って見事マッチングを果たした、
田中哲二さん(仮名・埼玉県)60代の男性の方と、三浦加代さん(仮名・千葉県)50代の女性の方。

哲二さん行きつけの居酒屋で、早々に帰ると言い出した加代さん。

しかし、注文したドリンクを一口飲んで、途端に帰りにくい雰囲気になった様子で

加代「ええと・・・」

哲二「・・・とりあえず、何か料理を注文しようよ。用事があるなら早めに切り上げて帰ってもいいしさ」

加代「いえ、私が先に出ますので・・・」

大将「はい!お通しね!鶏皮ポン酢」

またしても大将が、空気を読んでるのか読んでいないのかのタイミングで、お二人の間を割って入ります。

哲二「あ・・・ああ。ありがとう」

大将「あれ?何?まだ料理の注文決まってないの?迷ってる?」

哲二「あ〜・・・いや、そういうわけじゃないのだけど・・・」

煮え切らない哲二さんの返答に、今の間で言わなきゃと言わんばかりに加代さんは、

加代「す、すいません。私用事を思い出したので帰らなきゃ。あの、これ置いておきますんで」

そういうと、加代さんはテーブルに千円札一枚置いて、そそくさと荷物を持ち、店の出口へ向かいます。

哲二「あっ。加代さん!ちょっと・・・」

加代さんは何だか凄く気まずくて、振り返ることもなくそのまま店を出て歩いて行きました。


勢いで出て来てしまったけど、流石にこれは無かったかしら・・・。
いえ、あのまま一緒にいても我慢することが多くて辛かっただけだわ。


でも、お店に入って、料理も注文せず先に出て来てしまうなんて、酷かったかしら・・・。
けど、あの場所に長くいると逆に私が哲二さんにもっと酷いことを言ってしまいそうだったわ。

自分自身に自問自答して、若干の後悔に引きづられつつ、加代さんは帰路に着きました。

<続く>

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