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来たかった場所「義明さん幸子さん」27

高齢者婚活パーティーで出会って見事マッチングを果たした、
鈴木義明さん(仮名・東京都)60代の男性の方と、高橋幸子さん(仮名・神奈川県)50代の女性の方。

日曜日。
義明さん指定の駅前待ち合わせで、お二人はデートをしています。

幸子(あ、もしかして・・・そうか、この駅って・・・!)

ふと義明さんを見ると、ニヤリと笑みを浮かべて幸子さんを見て

義明「そう、ご名答。ここに来たかったんだよな」

歩みを緩めて義明さんが立ち止まったのは、高校の校舎の前でした。

幸子「懐かしい・・・!!学校は変わらないわね!」

高校時代に通っていた駅前から校舎までの懐かしい道のりを二人は歩いて来たのでした。

義明「懐かしいよな。道のりは随分と雰囲気変わってたけど、ここは変わらないな」

幸子「同じ高校に通ってたんですもんね」

義明「そう、偶然にね。池袋の中高年お見合いパーティでは気づかなかったけど、同窓生だって知った時、あれでグッと俺の中で幸子さんへの親近感が生まれたんだよな。」

幸子「私もよ」

義明「その時、話してたことで気になってさ。」

幸子「何かしら?」

義明「ほら、体育館のボールだよ」

幸子「ああ・・・!赤と白のボール!」

義明「俺たちが投げて挟まったのは白いボールだけだったけどね。その後、幸子さんの代では赤いボールも増えていたって聞いてさ。今はどうなっているんだろうって。話を聞いてから、ずっと気になってたんだ。」

幸子「そうだったの。確かに私も気になるわ」

義明「よし、行ってみようか」

高校の校舎には日曜日ですが、チラホラと生徒の姿が見えます。

ぐるりと回り体育館に向かうと、高校生が声を出しながら各スポーツに勤しんでいました。
どうやら休日の部活動のようです。

幸子「私も高校生の時、こうして部活動に励んでたなあ」

義明「幸子さんは何部だったんだい?」

幸子「私は卓球部だったわ。私の代は、すごく弱かったけどね。義明さんは?」

義明「バレー部だったよ。実は友達と遊んで投げて挟まった白いボールってのは、バレーボールだったんだよ」

幸子「まあ!」

<続く>


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